普段着の着物がなくなり、工芸品のような品ばかり目につき、気軽に着ることが難しくなった着物。
最近、着物姿をよく目にするようになり、いずれ私も、と思う。
体が着物サイズではない(背丈、裄が長い)から、親や誰かから譲り受けることは難しく、一から自分でというハードルの高さ。プラス、胸を締め付けたくない、化繊は避けたいという体の事情。相当ハードルは高い。
普段着物を心に置き、読んだ本。
「いのちを纏う 色・織・きものの思想」志村ふくみ・鶴見和子
心豊かな時代を過ごされた方たちの身から溢れる言葉にうたれる。
教養の深さ、感覚の鋭さが羨ましい。いまの時代それを得るのは難しい。何より導いてくれるものがない。こういう本から伝わるものを、自分なりに受け止めていくしか。
手織りしかなかった、といえば今にしたら贅沢に見えるが、その時代は新品の衣類は人々に行き渡るほどなかった。織りや仕立てに費やす手間ひまを考えれば当然のこと。それを思うと、染織の技が発展し続いていること、それを身につけられることは(工芸作品ではなくとも)、どれだけ奇跡的なことなんだろう。
もう昔には戻れない。
昔を活かした新たな歴史が、広がり、根付いていくといいのかもしれない。