おやまーの日々

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若者に希望を―20歳前障害の現実(先天性心臓疾患の場合)

心臓疾患の治療後に職場復帰したAさん。同じ部署に短時間勤務のアルバイトBさんがいます。
Bさんにも心臓疾患があります。体調に波があるため前職を辞めざるを得ず、体調のいい時期だけ働くようにしたといいます。
仕事をセーブするよう医師に指示され、短時間勤務になったAさん。障害年金の申請が通り助かったと話すと、Bさんは、自分は生まれつきの心臓疾患で、中年になり体力も衰えてきたが、長年受けていた障害年金を最近打ち切られ、体にムチ打って勤めざるを得ない、と打ち明けました。
Aさんは驚きました。Bさんの方が体調が悪そうなのに…。

障害年金には格差があります。
年金受給や病状は、普通話をすることがなく、あまり知られることはありません。


年金の基準では、二人とも障害3級に該当します。
(身体障害者手帳と年金の基準は異なります)

Aさんは雇用されており、厚生年金の期間に病気になったので、障害厚生の3級です。
一方Bさん、前職で厚生年金に加入しましたが、病気になったのはそれ以前のこと(診断は20歳前)。国民年金の期間の障害(障害基礎)になります。障害基礎には3級がありません。

規定の要旨は、
3級;労働に著しい制限を受けるもの
  労働に著しい制限を加えることを必要とするもの
2級;日常生活に著しい制限を受けるもの
  (労働により収入を得ることができない程度のもの)
1級;日常生活が困難なもの
  (介助が必要)

国民年金では、まったく働けないまでにならなければ障害年金を受けられないということになります。
短時間勤務しかできなければ、自力で生活できないのですが、一体どうすればいいのでしょう?
今は働きかたも多様化し、テレワークもあるので、収入を得ることができないという基準、どうとればいいのでしょう。

20歳前から障害の人は、学校に通えない、社会経験が乏しい、体力がないなど、障害のため不利な条件で就職活動することになります。
内臓疾患では体調の変動に翻弄されます。
勤めに就くことも、勤めを続けることも、難しいのです。
就労後の支援がなく、障害年金の格差もある現時点で、社会適応の難しさが酌まれないなら、精一杯社会で活躍しようとしても、意欲を削がれます。

障害のある者が活躍しやすい社会へ向かうには、障害年金に拘っていてはいけないかもしれません。
しかし、年金制度のしくみが今の社会に合わないのも確かです。

勤めをしている人が働けなくなった時の保障、というところから始まった厚生年金・共済年金
勤めていない者にも同じような保障をと国民年金ができ、当初任意だったものが全員加入になりました。
以前、加入は任意だった大学生が障害になった場合、年金を受けることができず問題になりました。
年月はかかりましたが、救済措置がとられています。

厚生年金が加入期間のみの保障という点は、任意で入る一般の保険なら理解できますが、義務となった公的年金で差があれば不公平でしょう。
年金が一体の制度ではない。その不都合が障害年金に現れています。

※この記事では、国民年金と厚生年金を対比させましたが、共済年金は厚生年金とほぼ同じ内容です。
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今回の障害年金の打ちきり予告は、対象のすべてが20歳前に障害になった人とのこと。
障害年金:1000人打ち切りか 審査集約、戸惑う受給者 - 毎日新聞

国民年金であれば、自営や農漁業などの人も条件は同じはず。その中で一定の条件の1,000例以上が打ちきりとは不可解です。

生活に必要なほど稼げない人を打ち切れば、生活保護の受給者を増やすだけ。
事務的に基準通りに判定することが公平なのか、考える時期にきたのではないでしょうか。


社会に出る前から不利な条件のある若者とその家族に、希望がもてる支援を望みます。

社会の変化に応じて制度が変わるのは当然のこと。その際、希望を奪わない、人の力を活かす方向を目指すよう願ってやみません。