雨上がりの午後、外は意外と暖かく感じた。
天羽やよいさんの菱刺しを拝見する。
お寺の本堂という場所は、名も知れぬ女性たちが続けてきた営みを供養するためでもあった。
どんな素晴らしいものでも、暮らしの中に組み込まれなければ続かない。用の美だった菱刺しが用を失った今、どのような行く末があるのかと、胸苦しくなる想いも抱きながら、目の前の帯が使われている姿をみたいと強く思った。
辞してからも胸がいっぱい。昭和の風情が色濃く残る町で、目に留まったカフェで一服。ようやく現代に馴染み、駅へと向かった。