おやまーの日々

好きなもの、気になること、日々あれこれ

五百年を横断

延期からの開催、待ちわびていた、特別展きもの

日々変わりゆく状況、迷いながら、先日出かけました

 

数百年前の布が衣服の形で残っている奇跡

模様=技の細かなこと

意匠モチーフが現在に通じている様子

私は、技巧に気持ちを寄せて見るのだと気づきました

天璋院篤姫の衣装も

刺繍のふっくら感や色合いに目がいきます

着た姿はどんなだろう、は遙か彼方

職人の姿が浮かびます

 

衣装の数々に、気持ちが満ちました

きものの変遷に、学びがありました

 

この展示の衣装は、晴れ着

作者と着る人は離れています

手入れも、着る人とは違う人でしょう

こぎん刺しの服を見慣れた目には

身分に対する期待が感じられます

ことに遊女の衣装は

美しいというより悲しく思えて

重量が束縛の重さのようで、胸が重くなりました

 

17世紀の絵図の人々は、

細い帯、ゆるやかな着装で何か楽しげ

体が生き生きしているように感じます

その後、見返り美人の図では広い帯で

窮屈な感じはしますが、お尻がぽこり

同じ頃の図の、胸元はゆったり

それが、大正時代の美人図では

衿元きっちり、体のラインは直線的

着方が変わったのか、美の基準の違いか

着物は鎧になっているようにも思えます

 

展示で打たれたのは、一竹辻ヶ花の連作

十数枚、横に並べると景色が繋がり、一幅の画

淡い色変化の美しさと相まって、立ちすくみました

 

気になった一品は、すっとした佇まいが印象的な

縮緬吉原細見模様

小さな人物が幾人も、刺繍で細やかに表現され

目を凝らせば表情まで見えそう

身丈が長いよう、どんな方が着たのでしょう?

 

折敷という形に仕立て変えられた布を

縫い戻したら古い時代の完全な小袖となったとか

振袖の袖を切って短くしたようだとか

仕立て直されたらしいとか

そんな変遷をしながらも集まった品は、幸運な布

作り手と、大事にしてきた人たちの想いの厚さ

幸運の数々に触れたひとときでもありました

 

気がかりの多い中

開催に尽力されたスタッフのみなさまに感謝いたします

東京国立博物館 - (平成館) 特別展「きもの KIMONO」

 

f:id:Oyamada23:20200723195200j:plain

図録の写真の展示品は、また違う美しさを見せていました

f:id:Oyamada23:20200723181719j:plain

人のいない噴水

 

上野駅公園口にも驚きました。

前の道路は日暮里方面に抜けられなくなり、

改札口も少し日暮里寄りに変更。

コンビニと飲食店が開店。

今は整備中ですが

公園口は文字通り公園になりそう。