こぎん刺しキットの種類は、以前より増えました。
その多くが伝統的な柄ではないので、こぎん刺しの言葉からイメージするものも、若い人と、以前からこぎんを知る中高年とでは変わっているのでしょう。
気になるのは、伝統的な模様を使ったものも、そうでないものも、「こぎん」と一括りにされること。
刺していると、伝統模様はリズミカルなのです。慣れると刺しやすさの違いを感じます。
創作柄で面を埋めると、すごく疲れてしまう。
伝統的な模様は、刺す行為としても洗練されていて、いわば身体にやさしいのです。
そのよさが、なし崩しに失われてしまわないように、伝統的な模様と可愛い創作こぎんと、分けて表記することも必要だと感じます。
可愛い、が重視される現代だから、それを目指すのは自然のこと。
でも、古い時代の必然から磨かれてきた点も、大切に伝えていきたいのです。
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こぎんキットといえば
関東の手芸店でよく見かけるのは、大手の会社のもの。
初めの頃は、紺地に白の伝統模様で手提げなどのシリーズがありました。
今は、色糸を使った創作柄の小ものがいくつも並んでいますね。
別会社で、こぎん風と書かれているキットもあります。
こちらも創作柄。一見伝統柄と見える模様もありますが、似せものとわかるようこぎん風と打ち出しているようです。
こぎんの地元、弘前には伝統的な模様のキットをつくる手芸店があり、通販もしています。
フェリシモ、ベルメゾンにも各々シリーズがありますし、講師や手芸店独自で出しているかもしれません。
私が若い頃には想像できないほど、こぎんの輪が広がっていて、嬉しく、でもちょっと複雑な気持ちもしています。