十年近く前だったろうか。キットを見つけ、こぎん刺しが取り上げられた!と喜んで頼んだ。
津軽で生まれた素朴な美しさ…そんなタイトルで ポーチやペンケースを作るもの(今も出ている)。
でも、こぎんとは違っていた。
奇数で刺していく伝統模様ではなく、北欧風に見える、数を考えていない模様。
刺し終えたコングレスに、木綿の裏布をつける仕立て方。
こぎん刺しは、布の補強のために発展した技と模様のはずなのに、それがまったく活かされていない。
例えば、刺し子でクリスマスツリーを刺してヨーロッパ刺繍といったらおかしい。そんな感じの違和感がある。
模様は頼む前からわかっていたけれど、仕立て方もあれれ?になるとは。
小さなもの(ティッシュケースやペンケース)に裏布をつけると分厚くなって使いにくく、悲しくなった。
奇数に整った伝統模様なら、リズムができるけれど、これはいつまでも慣れず、図案を見なければ進めない煩わしさもあった。
フェリシモのキットは、届けられるワクワクを買うもの。そこを割り引いても、これはないわと私は思う。津軽のこぎんとは違うのだから。
でも、キットがこぎん刺しを広めた功績もあるから、気持ちは複雑。
せめて、こぎん風模様というなら納得できるのだけれど。