タイトルは、昨日触れた森まゆみさんの本。
上野公園や谷中・根津・千駄木という地域を中心にした、江戸・明治~昭和の地図からみえる町の姿、長く住んでいた人が描いた地図、住んだ人の語りで歳月と重ねた町の姿。
ざっくり言えば、そんな内容です。
暮らし、日々積み重ねたからこそ、たくさんの地図を重ねたとき、歴史を深く掬いとることができる。ささやかな日々の持つ力を感じました。
それと同時に、江戸時代より続いている歴史をうらやましくも感じます。
私が生まれ育った町も今いる町も、昭和の半ばに宅地になった土地。古い歴史を語れる人はいません。語る人がいても、山林という別物でしかありません。
それがなんだか寂しいのです。
この本で、谷根千という地域が一つの話題となり、雑誌もできたのは、震災や戦災の被害が少なかったからとわかりました。
そう思うと、時間旅行ができるのは、とても貴重。
そこに集まった人々が育んだ歴史ー当たり前の日々が続くことーこそ大事なのだと感じ入りました。
実はこの地域に小商いをしていた親の実家がありました。昭和の終わり頃に店はなくなりましたが、内心もしや、とみていたら、手書きの地図の中にちっちゃな記載が!
記憶に留まっていて嬉しかった。
変わりゆく時間の中で認められていたと確認できる機会、そのとき感じる温かさ。これも今は貴重なものですね。
本をまとめてくださった森まゆみさん、ありがとうございます。